えせエッセイ

2児の父親が家族や趣味などエッセイ風に書き綴ってみました。エッセイというのはおこがましいので、えせ(似非)なのです。

『創るセンス 工作の思考』 ものを作るセンスってどういうもの?

こんにちは!

 

 

今回読んだ本は、『創るセンス 工作の思考』(森博嗣・著 集英社新書)です。2010年に出た本です。

 

 

センスなんて生まれ持ったものじゃないかと敷居が高く思うかもしれませんが、そんなことありません。とても楽しく読めました。目次を見てみましょう。

 

 

目次

まえがき

1章 工作少年の時代

2章 最近感じる若者の技術離れ

3章 技術者に要求されるセンス

4章 もの作りのセンスを育てるには

5章 創作のセンスが産み出す価値

あとがき

 

 

最初は森さんの子ども時代のモノ作りとの出会いについて始まり、現状の問題点、これからの技術者に必要なことなどが述べられています。私が読んでいて付箋を多く貼ったのは、3~4章でした。

 

 

森さんは小さい頃は自分でラジオや身長ほどの高さのロボットを作り、現在では自宅の庭に自作の鉄道を走らせ、模型飛行機を飛ばしたりもしています。毎日何かしら製作しているのだそうで、楽しそうな生活です。

 

 

もの作りをする人は技術を躰(からだ)で覚えてきた第1世代と、彼らが身に着けたものを数字や言葉に置き換えマニュアル化された「知識としての技術」で覚えた第2世代に分かれると言います。

 

 

そして第2世代はマニュアルだけでもの作りをしており、マニュアルには載ってない第1世代が持っていた技術とのギャップこそが「技術のセンス」なのだと、まえがきで書いています。そういえば某女性科学者(?)もマニュアルには載っていない「コツ」で細胞を作るんでしたっけ(笑)?

 

 

また、もの作りをすれば失敗やトラブルは必ず起こるもので、失敗が起こらないようにするなんてことは理想論に過ぎません。だから起こったときにどうすればよいのか、もっとも簡単で万能な対策は、「時間的な余裕」を見ておくことです。

 

 

私がサラリーマンをしていた時は、なぜか締め切り直前にならないと手をつけない文化がありました。みんながそうなんです。だから締め切りの日はみんな残業をするんです。そんな日に早く帰ると変な目で見られるんです。なんなんだこいつらは、と思っていましたね(笑)。

 

 

そして本書では、「プロジェクトX」などの苦労談としてぎりぎりの条件で技術者が切り抜けて成功を掴んだという演出は、非技術系が描いている「人情物語」、酔った席の自慢話のレベルと切り捨てています(笑)。

 

 

というわけで、この本は新人から新人を指導する立場にいるベテランまで、さらに技術者だけにとどまらず、文章を構成して「作り」上げるという作業をする人みんなにおすすめできる本です。

 

 

さて、著者の森博嗣さんは小説家でもありますが、あいにく小説の方は読んだことがありません。でもこの方のエッセイは好きです。理系の視点で書く論理的な構成が私に合うのかもしれません。そして1957年生まれの57歳。まだ物が贅沢にあふれる前の時代を過ごされたので、自分で作らないと遊ぶものがないということもあったのでしょうかね。

 

 

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それではまた!