都立高校採点ミスのニュースから改善策を考える
こんにちは!
都立高校の採点ミスがニュースになっていました。
東京新聞:「時間厳しい」学校釈明 都立高入試採点ミス:社会(TOKYO Web)
理由について学校側は、試験日から合否発表までに採点時間が実質1日程度しかなかったとか、受験生の人生に影響するという認識が希薄だったなんて信じられないことを言っています。
再発防止は当然するでしょう。しかしミスが起こったのには、どこに問題があったのでしょうか。
まず都立高校の試験は記述式です。そしてミスが多かった教科は順に社会が357件、英語287件、国語254件、以下数学、理科は100件台です。つまり文章で答える教科にミスが多く、採点者によって正解の認識に違いがあったようです。
実際に今年度の試験問題を見てみましょう。まず一番ミスの多かった社会です。全20問のうち、文章で答える問題は4問あります。たとえば、
4.〔問3〕
⑶社会の変化に対応し、用途に応じて水を利用するようになった。とあるが、次のⅠの略地図は、18世紀はじめにおける江戸とその周辺の主な上水や用水、分水を示したものである。Ⅱの文章は、江戸幕府の政策とⅠの略地図に示した上水や用水 分水についてまとめたものである。Ⅲの略年表は 上水や用水 分水に関する主な出来事についてまとめたものである。玉川上水とその分水がつくられた理由を、Ⅰ~Ⅲ の資料を活用し、政策に着目して、簡単に述べよ。
(回答)
参勤交代をきっかけとした人口の増加に伴う水需要の拡大や、武蔵野台地の新田開発のための水が必要とされたから。
完全に自由に書かせて回答を求めています。「参勤交代、人口、武蔵野」という単語を使うこと、と文章を絞らせるとか文字数の制限もありません。
英語の一例は、
4.〔問4〕 次の質問に英語で答えよ。
(1)Why did Nobuyuki visit his grandfather?
(2)What did Nobuyuki promise when he talked about his future with his father?
(回答)
(1)To paint mountains and a beautiful river.
(2)He promised that he would never give up his dream.
WhyとかWhatで聞かれて、答え方に何の指定もなければ答えはいくらでもあると思います。時間がないと言っているのに、こんな質問形式では採点が雑になるのも無理はないです。
(参考)
解決策として、採点時間を確保する為に合否発表日を遅らせるのは受験生の立場からすればやめて欲しいはず。
一番簡単なのはマークシート式にしてしまうことです。採点も機械的に出来るし時間を短縮できます。もしくは文章を書かせたいのなら、
- 文字数を制限する(20字以内で書け、など)。
- 用いる単語を並べて解答させる文章をある程度絞る(A、B、Cという単語を用いて文章を書きなさい、など)
が必要だと思います。大学入試は受験生も多いので、このやり方をしています。
4月に入学してようやく高校生活に慣れてきた頃にこんなことを言われる子どもが気の毒でならないです。
来年度はぜひ試験方法の検討をお願いしたいですね。
↓ こちらは大学入試の採点ウラ話が面白い本です
それではまた!