『ねずみに支配された島』 ”たった一匹の侵入者が全生態系を破壊する”
こんにちは!
うわー!すごく更新が空いてしまいました。普段更新していると記事を書くことが楽しいのですが、更新を滞らせると文章を書く手が止まってしまいます。書かないと気持ち悪いってなるといいんだけどな。。
今日の本は、
『ねずみに支配された島』
(ウィリアム・ソウルゼンバーグ著、野中香方子訳 文藝春秋刊)
です。
たった一匹の侵入者が全生態系を破壊する
このハリウッド映画の宣伝文句のような帯の文章で購入したようなものです。まんまとマーケティングに乗せられましたね(笑) こういう所は私も学ばなければと思いました。
さて、さっそく読み進めてみましょう。プロローグには、
島の面積は地球の陸地の五パーセントにすぎないが、陸生の種の二〇パーセントは島で生まれた。しかし、絶滅の大半も島で起きており、鳥と爬虫類に限って言えば、絶滅した種の三分の二は、島で暮らしていたものたちだ。
と書かれています。結局海に囲まれた島では、天敵が現れても逃げ場が無いわけですね。
人間が意図して、意図せず関係なく持ち込んだネズミ、ネコ、イタチ、ヤギ、ブタ、ウサギ、マングース、ヘビ、アリなどの外来種たちが絶滅危惧種を増やしました。しかし、それらを自然保護グループがどうやって駆除し、在来種を救ったのかということが書かれた本です。読んでドキドキしてページをめくる手が止まりません。
つまりこれは戦争の物語 -ある集団を生かすために別の集団を殺す人々の物語- なのだ。(プロローグより)
目次はというと、
プロローグ ウミスズメの脳と目玉を喰う小動物
第一章 太平洋の墓場
第二章 無人島の番人
第三章 ベーリング海のキツネ
第四章 楽園の破局
第五章 地球でもっとも弱い動物
第六章 ネズミを出血させる薬
第七章 バハ・カリフフォルニアのネコ
第八章 ネズミも痛みを感じている
第九章 集まったラット・バスターズ
第十章 シリウス岬の殺戮
第十一章 イースター島はなぜ滅亡したのか
第十二章 消えたネズミ
エピローグ 地球という島
ネズミの知能はとても高いです。毒エサを食べたネズミが苦しんでいるのを別のネズミが見れば、もうそのエサには二度と近づこうとしません。そして53,000リットルのプールに一滴の塩素を加えたものですら嗅覚で分かるのだそうです。だから防腐剤や、アリやゴキブリに食べられないように殺虫剤を入れたエサも食べようとしません。
しかしそこに新兵器が登場します。ブロジファクムという化学物質です。これは従来使われていたワルファリンよりも毒性が100倍も強く、毒が効くまで何度も食べさせる必要がなくなりました(つまり何度も食べてくれないと致死量にならなかった)。この毒が肝臓に入ると、血栓ができなくなり、血管にできた小さい傷を修復できずに失血死します。ワルファリンは人間の血栓症(血液が凝固して心筋梗塞を招く病気)の治療薬に使われていたそうです。
ブロジファクムは苦しまずに死にます。だから前記したようにネズミたちは悶え苦しむ姿を見ず、毒餌に不信感を持たないのです。そしてこれを練りこんだ毒餌を持った駆除チームと、ネズミの知恵比べが始まったのです。
また、
の滅亡にも、ポリネシア人の船乗りが連れてきたネズミによって植物を食い尽くされたことが原因のひとつとされています。
最後に。この本では絶滅する種の保存のための活動が記されています。私は種の保存も必要ではありますが、地球の歴史規模の目で見れば新しい種の誕生もあってほしいとも思います。その過程では種の絶滅もあると思います。もちろん人の手で人為的に食物連鎖のピラミッドを崩すのはもっての他ですが。
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同じ著者が書いたこちらの本は、今度は人類が生態系ピラミッドの頂点である肉食獣を駆除した結果の悲劇が書かれておりとても面白いです。
それではまた!!